ブランコはポルトガル語
近くの空き地が整備され、可愛い児童公園ができた。
形が三角なので名前は『三角公園』とついた。(うーん、なんと工夫のない)
そこにはお決まりのブランコがあって、幼児を乗せたお母さんが「ぶーらん、ぶーらん」と声を掛けている。のどかな春の風景だ。
ということで、自分もこの「ブランコ」という名前は「ぶーらん」という様子を表した言葉に、「振り子」のように「こ」を付け足してできたものだと思っていた。
ところがなんと、これはポルトガル語の「balanco」が語源だというのだから驚いた。
(英語でなら「swing」ね)
神話が豊富な古代ギリシャには、豊穣を祈るために女性が「ブランコ」に乗る『アイオラ』という祭りがあったというし、またインドでも紀元前2000年ころ、冬至の日の農耕儀礼としてやはり女性が『ブランコ』に乗る儀礼が行なわれていたのだそうだ。
また唐代には中国で、冬至から数えて105日後の寒食の日にやはり女性が乗る儀礼が宮中で行われていたのだという
。
日本にはこの中国から伝わり、「鞦韆」(しゅうせん)なる言葉が辞書にも載っている。
この「鞦韆」は春の季語ということで、漢詩にもあるということだが、そんな難しい言葉は聞いたことがないぞ、と思っていたら、実はこれだった。
『蘇東坡の春夜の詩』。ほら、知っているでしょ?
春宵一刻値千金(しゅんしょう一刻あたい千金)
花有清香月有陰(花にせいかあり、月に陰あり)
歌管楼台声寂々(かかんろうだい、声せきせき)
鞦韆院落夜沈々(しゅうせんいんらく、夜ちんちん)
大意は「花が香り、月はおぼろ、そんな値千金の春の宵が更けて、歌や管弦で賑やかだった楼台も今はひっそりとしている。鞦韆(ぶらんこ)のある院落(中庭)に人影はなく、夜はしんしんと更けてゆく」というようなものだ。
自分は最後の「しゅうせんいんらく、よるちんちん」という語感が面白くて、よく口ずさんでいたものだったが、へーえ、この「鞦韆」が(ブランコ)だったのね。
しかしギリシャにしても、インドにしても、また中国にしても、みんな「ブランコ」に乗せるのは女性。
なんだ、僕が小学生だった頃と、魂胆はみな同じじゃない。スケベだな。
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