他人の言葉を疑わなくっちゃね
警察庁によれば、昨年1年間の振り込め詐欺の被害額は約284億円にも達したのだという。
284億円って、すごい数字だね。
そのあらかたが、暴力団によって組織化された振り込め詐欺団によるものなんだというけれど、彼らは別にこれでは誰も刃物なんかで傷つけていないんだから、それなら暴力団という名前を変えてあげなくっちゃねえ。失礼だよ。
しかし、談志さんも言っていたけれど、近頃少し他人の言葉を疑わないからいけないんじゃないか。
昔はそこら中にテキ屋というのが店を出していて、例えば七味唐辛子なら「ゴマは○○州○○産、山椒は○○州○○産、・・・一杯おまけはご愛敬」なんて、うまい口上で売っていたんだよね。
僕の実家は商店街のパン屋さんなんだけれど、その前でもやっていたもの。
これはともかく、祭りの夜店なんかだと、油断しているとそのうまい口上に騙されていかがわしいものを買わされてしまうから、そりゃあ子供にとってもおっちゃんとの真剣な駆け引きだったんだな。
しかしみんなそういう経験がだんだんなくなってしまい、言葉の真贋を見分けるということがなくなってしまったように思える訳。
結局そうしてあまり他人の言葉を疑わなくなってしまったんじゃないだろうか。
まあ、ここまで読んでくれた希少なおかたに、ガマの油の口上をご紹介しましょ。
ちなみに僕の父親は、毎年成田山でこのガマの油を買ってきていたぞい。
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さあさあ、お立会い、御用とお急ぎで無い方はゆっくりと聞いておいで、見ておいで、遠目山越し笠の内、聞かざる時は物の出方善悪黒白がとんと判らない。
山寺の鐘がごーんごーんと鳴るといえども、法師来たって鐘に撞木を与えなければ、鐘が鳴るのか、撞木が鳴るのか、とんとその音色が判らない。
さてお立会い 手前ここに取りい出したる陣中膏は、これ「ガマの油」、ガマと言ったってそこにもいるここにもいると言う物とはモノが違う。
「ははあーん、ガマかい。ガマなら俺んとこの縁の下や流し下にぞろぞろいるよ」と言うお方があるかもしれないが、あれはガマとは言わない、ただのヒキガエル・イボガエル。何の薬石効能はないよお立会い。
さて お立会い、手前のはこれ「四六のガマ」四六五六はどこで見分ける。前足の指が四本で、後ろ足の指が六本これを名付けて ヒキ面相は「四六のガマ」だ。
さあてお立会い、このガマ何処に住むかと言うと、ご当地よりはるか北、北は常陸の国(ひたちのくに)に筑波の郡、古事記、万葉の古より関東の名山として詠われておりまする筑波山の麓、おんばこという露草・薬草を喰らって育ちます。
さてお立会い、 このガマからこの油を取るには、山中深く分け入って捕らえ来ましたるこのガマをば、四面(しめん)鏡張りの箱の中にガマを放り込む。さあがんま先生、己のみにくい姿が四方の鏡に映るからたまらない。
ははあ 俺は何とみにくい奴なんだろうと、己のみにくい姿を見て、びっくり仰天、巨体より油汗をばタラーリ・タラリと流す。これを下の金網・鉄板に漉き取りまして、柳の小枝をもって 三七は二十一日の間、とろーりとろーりと煮焚きしめ、赤い辰砂にヤシ油、テレメンテーナ、マンテイカ、かかる油をばぐっと混ぜ合わせてこしらえたのが、お立会い、これ陣中膏はガマの油だ。
さてお立会い、このガマの油の効能はと言うと、疾、がんがさ、よう梅毒、ひび、あかぎれ、しもやけの妙薬、まだある、前にまいれば陰金田虫、後ろにまいれば脱肛、痔核、痔出血、鶏冠痔の他、切り傷一切まだある。大の男が七転八倒、畳の上をごろんごろんと転がって苦しむのがお立会い、これこの虫歯の痛み、だが、手前のこのガマの油をば、ぐっと丸めて歯の空ろに詰めて、静かに口をむすんでいる時には、熱いよだれが、たらりたらりと出るとともに、歯の痛みはピタリと止まる。お立会い。まだまだあるよ。刃物の切れ味をも止める。
さてお立会い、手前ここに取りい出したるは、我が家に昔から伝わる家宝・正宗が暇にあかして鍛えたと言う代物である。実によく切れる。エイッ 抜けば玉散る氷の刃。
ここに、ちょうど一枚の紙があるから、切ってお目に掛けよう。一枚の紙が二枚、二枚の紙が四枚、四枚の紙が八枚、八枚が十と六枚、十六枚が三十と二枚、三十二枚が六十四枚、六十四枚が一束と二十八枚。
ほれこの通り、細かくよく切れた。ふっと散らせば、比良の慕雪か嵐山には落花の吹雪とござい、お立会い。
さてお立会い、これ程よく切れる天下の名刀でも、一度このガマの油をば付ける時、たちまち切れ味が止まる。差し裏・差し表に付けまする。サァーどうだ、たたいて切れない、押しても引いても切れやしない。
さてお立会い、お立会いの中に「お前のそのガマの油というやつは、切れる物を、ただ鈍らにするだけだろう」と言うお方があるかも知れないが、手前、大道商人はしているが、金看板は天下御免のガマの油売り、そんなインチキはやり申さぬ。このように、きれいに拭き取る時には、元の切れ味になる。
はいこの通りだ。 さわっただけでも、赤い血が、たらりたらりと出て来る。
それでは、二の腕を切ってご覧に入れる。えいっ
さあてお立会い、お立会いの中に、それ程効き目あらたかなこのガマの油 いったい一貝いくらだろうと言うお方があるかも知れないが、本日は、はるばる成田山まで出張っての大安売り、男は度胸、女は愛嬌、山で鳴くのはホーホケキョ、清水の舞台からまっ逆さまに飛び降りたと思って一貝が二百文と言うところ、半額の百文ではどうだ。
さあどうだ、このようにガマの油の効能が分かったら、遠慮は無用だ。
分かったら、どしどし買ってきな、さあ買ってきな。
さあお立ち会い~☆
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コメント
ピーさん、今日はお暇ですか?
暇なら、チップ包むの手伝ってよ~(笑)
投稿: まりあ | 2005.02.06 13:01
このがまの油の口上を聞いて(読んで)、鏡張りの箱に入れたらがまの油が取れるかどうか試してみたい、鏡ではなく、もっと醜いもの(なんだろう?)の写真をはっておいたらだめなのかやってみたい
と思ったのはCosだけかなぁ?
投稿: Cos | 2005.02.06 15:34
まりあさん
暇じゃないですよ。
しかし、チップってお客さん持ちじゃないのかなあ。
投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2005.02.06 17:26
Cosさん
>もっと醜いもの(なんだろう?)
ガマが自殺しちゃうかも。
投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2005.02.06 17:29
たまには他人の言葉を信じなさい!!
・・な~んて言われなかった?!(^_^.)
投稿: メイリ | 2005.02.07 08:12
メイリさん
>たまには他人の言葉を信じなさい!!
>・・な~んて言われなかった?!(^_^.)
いえいえ「他人様をだますよりもだまされなさい」って、
いつも父上と母上に言われておりました。
投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2005.02.07 10:38
なっ、長い(汗ヾ^_^;^_^;
投稿: 蒼空とそよ風と の管理人 | 2005.02.08 19:24