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『師と士』

整備振興会○○支部・平成18年新年会挨拶

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今年の雪は観測史上最悪という所もあるようですが、たしかに子供の頃はうれしかった雪も大人になるとそうでもない。
これはゴルフをやられるかたも同じだと思うのですが、自分も「今日はサーキット行くぞ」なんて言う日に外を見て雪景色だったりすると、ガッカリしてしまいます。

で、その同じクラブに、先ごろレーシングカートを始めた若い女の子がいるんですが、その彼女、セッションの合間になるといつもパドックで居眠りをしている。
で、「夜遊びばかりしていちゃ駄目だよ」なんて冷やかしていたのですが、実は彼女、北里病院の看護婦さんであることがわかった。
つまり、病院で夜勤の勤務を終え、それから栃木のサーキットまで来て走るので、それで眠かったと。
それがわかってから、彼女のことをある意味畏敬の念も込めて「看護婦さ~ん」なんてみんなで呼んでいたのですが、そしたらある日彼女が「○○さん、私のこと看護婦さんって言うけれど、いまは男の人もいるから看護婦とは言わないんです。看護師って言ってください」なんて叱られてしまいました。

なるほどそう言えば、そんなニュースを聞いたことがある。
で、この看護師の「師」というのは「師匠の師」、「師走の師」という字を書きます。
同じ字を書くものには他に医師、薬剤師、それから美容師、理容師、調理師にレントゲン技師などがある。

一方、みなさんのほとんどは整備士であると思うのですが、こちらの「士」はご存じのように「武士の士」、サムライという字を書きます。
で、こちらの仲間には他に弁護士や、税理士、会計士、司法書士やそれに今話題の建築士などがあります。

どちらも同じように一定の国家資格を持って仕事をする職業であるのに、どうして二つの「師」と「士」があるのか。
いったいこれらにはどんな違いがあるのか。
これがいろいろ調べてみても、いまいちその違いが明確でない。
強いて言えば「師匠の師」のほうは「一芸に達した者」、あるいは「学問、技術、芸能を教える人」なんていうふうに出ているけれど、しかし医師や看護師がみんな誰かにものを教えているという訳でもない。

一方「武士の士」のほうはというと、「専門技術を修めた者」または「資格、役割を持つ人のこと。それにより仕える人」なんて書いてある。
確かに武士はその武術でもって殿様に仕えたのでしょうが、いまわれわれ整備士や弁護士が誰かに仕えているという訳でもない。

ましてやこの看護婦が看護師に変わった保助看法の改正では、厚生労働委員会でこんなやりとりが記録されている。
曰く「武士の士」といいう字にはサムライ、つまり男という意味があるから、男女雇用機会均等法の建前からいってこれを使うのはふさわしくない。
従って「師匠の師」のほうを使うべきである、なんて書いてある。

これは議員立法だから、議院法制局のチェックを受けている筈なんですが、何を馬鹿なことを言っているんだか。
たとえば「保育士」や「栄養士」といった職業は、実は女性がほとんどです。
しかしいずれも「武士の士」という字を書くじゃないですか。
実はウチの奥さんも栄養士だけど、もちろんサムライなんかじゃない。
なにしろ、刀なんか持たなくったって、サムライよりずっと強い!

そうした時、作家の井上ひさしさんだかが新聞に書いたコラムが目に付いた。
彼曰く……
「だまされてもいいよ~」と思っている人をだますのが「師匠の師」のほう。
一方「俺はだまされないもんね~」という人をだましてしまうのが「武士の士」のほうなんだ、という。
なるほど、このだますという観点から考えるといろいろ見えてくるものがある。
例えば山師、詐欺師、ペテン師、いかさま師、錬金術師なんといういい加減なのはすべてこの「師匠の師」のほうを書くんです。

明日をも知れないガン患者に、医師や看護師は「大丈夫、すぐに良くなりますよ」なんて平気でウソをつくし、調理師はマズイ料理をおいしいと言い張る。
美容師や理容師は失敗して客の髪を切り過ぎても、鏡を見せて「ほ~ら良くお似合いです」なんてウソをついて、おまけにこれが許されると来ている。

一方われわれ整備士はどうですか。
直ってもいないのに「バッチリです」なんてクルマを渡したら、早速翌日クルマが戻ってきて大目玉だ。
弁護士が法廷でウソをついたら刑事訴追されてしまうし、税理士や会計士が数字を間違えたらそもそも仕事にもならない。
建築士が構造計算を偽装して、どれだけの社会問題になってしまったか、というのは昨今のニュースでご存知の通りなんであります。

「うん、これだ」と思って、それで彼女に言ってやったんです。
「君ねえ、看護婦から看護師に変わったって言うけれど、看護師の師なんて書く仲間にはロクなのいないよ。
ほら、詐欺師、ペテン師……こんなんばっかりだ」って。

そしたら彼女、しばらく悔しそうにしていたのですが、やがてこう反撃してきた。
「いや、整備士の士という字を書くほうにだって、変なのがいますよ」って。
「何だ?」と聞いたら、「代議士だ」って。
うーん、さすがにこれには僕も反論ができないのでありました。

ま、せめてわれわれ整備士は、その技能と資格をもってこれからも世の中の役に立つよう働いていかなければならないと、あらためて思うものでありました。

さて、これからは懇親会ということで、粗酒粗肴を用意いたしました。
整備士のかたも、また代議士のかたも、それからあるいはこの中に混じっているかも知れない詐欺師、ペテン師のかたも、どうか時間の許す限りご歓談をいただきたいと思うものであります。
では、どうぞよろしくお願いいたします。

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コメント

 資格だけは「臨床検査技師」を持っています。そもそも、「技師」という日本語は存在するけど「技士」というのは(単独)では無かったような気がします。近年、資格として「管工事施工管理技士」というのがあるのは知っていますけど・・・。私はそっちの方が気になります。

投稿: みゅーみゅー | 2006.01.18 17:22

みゅーみゅーさんは「臨床検査技師」なんですか。
うん、白い上っ張りを着ているのが目に浮かびます。

ご主人は技師じゃないんでしょ?
2人ともじゃ、家庭がギシギシしてしまうものね。
タッタッタッ=3=3

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2006.01.18 17:40

自分が持っているのは大学出てもらった学士くらい(笑)。技術屋の国家資格だと「技術士」って言うのがあってこれはなかなか難しいみたいです。教師、漁師、力士、う~ん難しいですね。

投稿: | 2006.01.20 00:51

惑さん

いいな、惑さんは「学士」さんなのね。
僕は中退してしまったから、そんなものももらえない。
もう、ガックシ

(^_^)v

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2006.01.20 10:39

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今年度から人事異動で職場が変わり、仕事内容も変わったので「技師」という役職・職名で働いています。 辞典で「技師」を調べてみると、技術関係のことを専門の職業とする [続きを読む]

受信: 2006.01.15 23:23

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