東京から身近な山域・丹沢といえど、今回の鉱山跡探検のようなことをすると、遭難だって紙一重だ。
通常ルートでない奥部では、情報が少なく地形図と磁石が不可欠。
もちろんそれなりに準備していったつもりだったけれど、頼りの国土地理院による2万5千分の一の地形図だってこうした山地ではあまり正確でないことがあらためてわかった。
つまりこの縮尺では、実際の小さな沢なんかが地形図には反映されていないのだ。
また帰路に予定していた沢の入り口では、当てにしていた分岐点の目標が見当たらず。
どうやら記事が書かれてから半年が経つ間に流されてしまったらしい。
で、そういう時のために用意したGPS。
でも多少の測位誤差は付きものだというし、今回は別に明確な分岐点の目標があったため、結果的にデータ表示に首を傾げつつも分岐を行き過ぎてしまった。
GPSさん、ごめんなさい。
「行き過ぎたのなら、戻れば」
ごもっとも。
だけど、実際には戻りたくても戻れないことがあるのだよ。
下降中、降りられない滝などにぶち当たると山側を大きく高巻きしなくてはならず、そうした部分は必ず急傾斜。
またこの西丹沢の辺りでは、たいてい非常に崩れやすいザレ場ということになっている。。
いったん滑り降りてしまったザレ場を、間違えたから今度は「逆に登りなさい」というのは実は至難のことなのだ。
進むも退くもままならず、いよいよ進退窮まって……
「ついにここで遭難かな……」
「はいソーナンです、なんて言ってる場合じゃないな」
なんて思いながら、携帯電話を取り出すと、なんとちゃんと電波のアンテナ表示が立っているではないか。
(註:この地域すべてで電話が通じる訳ではありません)
つまり、「電話が通じるので救助を求めることはできる。
自分の現在位置もGPSで正確に伝えることができる。
でも別に怪我をして動けない訳でもない」
「それで救助を求めたら恥ずかしいな」、と考えた。
ただ、降りられないし、登れないだけなのだ。
結局草の根までも引き抜きながら岸にしがみつき、這々の体でなんとか元の分岐まで登り返すことができた。
「あ~あ
こんな苦労するなら、家でテレビでも観ていれば良かったな」
その時はそう思う。
でも二日酔いと同じで、翌日には苦労は忘れてしまうんだけどね。
用意した地形図
GPSのデータなど、予め用意した地形図。
前回は徒渉時に滑って濡らしてしまったので、今回は防水仕様なのだ。
思わぬ巨大落石
大きな落石があって登れない。熊が落としたのか?
(写真じゃわかりにくいけれど、人の背丈より大きい)
倒木よ、お前もか
倒木までが行く手を遮る
リュックを背負っていると潜るのって結構厄介
女郎小屋ノ頭
知る人ぞ知る
頂上の印は貧相なこのジュース缶一つ
やっと上り詰めた女郎小屋ノ頭から、帰路に予定していたショートカット下降路でも道迷い。
何度も女郎小屋ノ頭からモチコシノ頭周辺をウロウロ往復する羽目に。
後で調べたらこれだもの。
仲ノ沢径での単独行者行方不明の事故では、東沢、女郎小屋沢、モチコシ沢、裸山沢などの源頭部を1週間以上彷徨し、岩壁を滑落してテラスに引っ掛かっていたところを、捜索を再開した捜索隊により発見されたことがありました。
これって、すべて今回歩き回ったところじゃん。
ほんと、磁石で確認しても迷う所だから、気をつけて。
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