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トンネル四景/明治・大正・昭和・平成

ここは静岡県にある宇津ノ谷(うつのや)峠。
海に近いので標高は170mだが、静岡市と藤枝市とを分ける昔からの難所。
東海道という要路でありながら、明治になってトンネルが貫通するまで険しい峠越えしか交通路がなかったのだという。

そしていまここでは、明治・大正・昭和・平成すべての時代のトンネルを見ることができる貴重なポイントになった。
(近世東海道の交通を知ることができる貴重なものとして2010年、国の史跡に指定)

明治トンネル (いずれも拡大します)

4m×3.9m×203m
最初に建設された馬蹄形の明治トンネル。
明治9年に日本最初の有料トンネルとして開通。
現在の赤レンガは明治36年に修復されたもの。
いまクルマは通れず、歩いてのみ入ることができる。

大正トンネル

7m×4.9×230m
大正時代に計画され、昭和5年にやっと開通した大正トンネル。
幅を拡げてかまぼこ形になり、自動車も楽に通れるようになった。
今は旧道として使われている。

昭和トンネル

9m×6.6m×844m
近代設備となった半円形の昭和トンネル。
昭和34年に完成。
狭いながら歩道部分も設置された。

平成トンネル

11m×6.6m×876m
平成10年、昭和トンネルの隣に建設された明るい平成トンネル。
さらに拡幅され、自動車だけでなく歩行者にも優しい最新設計のトンネルになっている。
これにより上下2車線ずつ使い分けられるようになった。
いまスピードを上げて通過するクルマのドライバーは、ここが峠であることすら知らずに通り過ぎるのだろう。
ちなみにここにある『道の駅・宇津ノ谷峠』は、上下線でなんと3つに分かれる珍しい道の駅だ。

明治トンネル内部

明治トンネルを歩いてみた。
駿河なる宇つの山辺のうつつにも
       夢にも人に逢はぬなりけり

伊勢物語にこう詠まれた通り、ここでは一度も人に出逢うことはなかった。
でも暗いとはいえ照明はあるし、真っ直ぐだし、こんなトンネルこんなトンネルのように怖くはない。
だって男の子だもん。

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