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峠のトラック・オブジェ(2)【ダッジ】

Shirosawa_02
トラックが佇む場所は東京都と山梨県との境近く、標高約1500mの白沢峠という所。
ここはちょうど4方向からの交差点になるため、以前から奥多摩ハイカーの間ではこのトラックの存在は知られていた。

Shirosawa_04
道の名は斎木林道(さいきりんどう)。
終戦後、東京で不足した木材を伐採して運ぶため、この地(笠取山から柳沢峠)にトラック道が拓かれたのだが、開通させた人物の名前を取りこの名で呼ばれている。
ただこの場所がとりわけ幅広い草地となっているのは、防火帯として人工的に刈られているからだ。


Shirosawa_01
その真ん中で静かに佇んでいるのは、かつてここを何百回となく木材を運んで通過したであろう米軍払い下げの全輪駆動のトラック。
長いこと放置されているうちに、山桜の木が荷台を貫いて育ってしまった。
(実はそのの時期を狙って訪ねたのだが、麓ではとっくに散った桜が、残念ながらここではまだ蕾にすらなっていなかった)

このトラックの車名について、ネットではフォード(Ford)と紹介した記事がほとんど。
しかしエンブレムもコーションプレートもない。


Shirosawa_05
シャシーやエンジン番号等を詳細にチェックしてもフォード車であることを裏付けるものは何一つ見つけることができなかった。
(マウスを置くと画像が切り替わります)

該当する年代の写真を詳細に確認しても、外観の一致するものがない。
おそらくは、日本の自衛隊にもあるように、市販車ではなく軍仕様車として特別に開発納入されたものなのではないか。
実用一点張りと思えるこの頑丈なグリルがそれを連想させる。

一方、由来を調べていたところ、クロカン車の専門季刊誌である『Cross Country Vehicle誌』が有償で頒布したこのクルマの写真にダッジ(Dodge)と明記されていることがわかった。
同誌はすでに廃刊となっていて、その根拠を確認することは出来なかったものの、ここは専門誌の判断を信じてダッジとしておこう。(調査継続中)
ちなみにダッジはフォード社ではなく、ライバル・クライスラー社のブランドだ。


Shirosawa_06
見よ、この戦車のように力強い米国製トラックの頑健さを。
アメリカが強くたくましく、世界で最も輝いていた時代を、朽ちてなお彷彿とさせるではないか。


Shirosawa_07
運転席を覗くとメーターはボロボロになっていたが、3本スポークのハンドルはまだ辛うじてその原形を留めていた。
(マウスを置くと画像が切り替わります)
ダッシュパネルの左下に見えるのが予告編で紹介したUSN PROPERTYのプレートだ。

このクルマがアメリカの自動車工場で産声を上げた時、まさかその最期をこんな日本の山の中で終えるとは夢にも思わなかったに違いない。

実はもう1台のトラックがこの先にある。
今度はそっちに移動だ。
(続く)

実際に歩いたよくわかる動画はこちら
             

(1)【予告編】はこちら
(3)【GMC】はこちら

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コメント

映画”イントゥ・ザ・ワイルド”を思い出しました。この映画はご覧になられたでしょうか。アラスカでひとりで生きていこうとする青年の実話で、古いバスがそこではでてくるのですが。
それにしてもすごいところばかり。うらやましいです。

投稿: ぴょん | 2011.05.07 13:38

ぴょんさん

残念ながら、映画”イントゥ・ザ・ワイルド”は観ていないんですが、中古のダットサンで荒野に出るんですよね。
バスの屋根に乗った写真を思い出します。
そんなの、いいなあ。
日本じゃ、職務質問されて、「ちょっと署まで」になりそうですが。

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2011.05.07 14:28

はじめまして、その個体は、ダッジのWCシリーズ(3/4 ton series)だと思います。
特徴の有るホイールやフロントフェンダー・グリル(ランプ)ガードの形状からほぼ間違いありません。http://en.wikipedia.org/wiki/Dodge_WC_series
また、CCV誌は、信頼性の高い季刊誌でした。
話は変わりますが、この車両付近(多少離れているかも)に洞穴が有りませんでしたか?
知人より有ったと聞いているのですが、記憶が定かではなく、場所が特定できなくて・・・。
多少離れている場所でも、穴が有った記憶が有れば教えて頂けますか、宜しくお願いいたします。

投稿: N | 2012.10.19 19:29

Nさん
初めまして。

情報をありがとうございました。
やっぱりダッジだったんですね。
良かった。

洞穴の件ですが、残念ながらまったく知りません。
知っていれば、自分が行きたいくらいであります。
ただあの近くは洞穴ができるような地質ではなかったような……
お役に立たず、すみません。

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2012.10.20 05:25

いえいえ、こちらこそ丁寧なお返事ありがとうございます。

ご存じとは思いますが、そのあたりで人口の穴なら、黒川金山・竜喰金山があります。
竜喰金山は、全て外から終点が見えるレベルの物でしかありませんが、黒川金山は、けっこうそそる奥行らしいです。
ただメインの穴は、現在は通せんぼされているようです。しかし、よく探すと他の穴がムフフとの事らしいです。
私のような、変態向けではありますが(笑)。
(一切おすすめしませんが)もし行かれるようでしたら、レポートを期待しています。
※坑道内は、命の保証はありません。また、そのあたりで一名未帰還の情報が有ります(坑道内ではないか?と役所の方に聞きました)。

投稿: N | 2012.10.20 18:24

Nさん

あ そういう広い範囲でのことですか。
白沢峠周辺は笹が密集していて、鉱山がある雰囲気ではないです。
黒川金山は(ダッジのある)白沢峠とは丹波渓谷を挟んだ別の山塊ですので、思いが及びませんでした。
黒川金山は崖崩れでいま重要な部分が広範囲に立ち入り禁止になっていますね。
こちら側でしたら昔の金山はいろいろとありますがほとんどが私有地で封鎖されているようです。

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2012.10.21 05:28

すみません、ピーちゃんの身元引受人さんのお察し通りでしたが、悪の誘いのつもりで、黒川金山の事を書きました。
余分な気遣いをさせてすみませんでした。

一昨日も、そのあたりに行きながらも、黒川金山の情報は全く知りませんでした(恥)。
地元の方に、中へ入れなくなったと、聞いていましたので、てっきり入口に柵が出来たのかと思っていました。
現在も、マニアの方は、入山されていらっしゃるようです(地元の方の情報です)。

ご親切にありがとうございます。

投稿: N | 2012.10.23 22:07

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