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地図で確認してみると、旧立場川橋を渡った中央線はまたトンネルに入っている。
そこから再び地上に出た辺りは、現在富士見町のグランドになっているようだ。
クルマを廻し、平日のこととて閑散としたグランド周辺を探ると……
あった!
グランドの奥に、時代を感じさせる石造りのトンネル坑門が口を開けていた。
フェンスで塞がれたそれは、明治37年竣工、正式名称を「姥沢(うばさわ)隧道」という。
ネットの隙間から中を覗いてみると、やや左にカーブしたトンネルの富士見側出口がわずかに見える。
しかし前日襲来した台風2号の雨もあり、内部はかなりの出水状態だ。
ただ、入らなかったのは水のせいではなく、ここには陥没の心配があるためだ。
(マウスを置くと画像が切り替わります)
逆側からの写真では、中央部に大量の落石が山のようになっているのがわかるだろう。
トンネルの天井部が崩落してしまっているのだ。
しかもこれは1回のものでなく、これまで数回に渡って崩壊を繰り返しているとのこと。
しばしば地震が続出するいま、ここを抜けるリスクは賢人のすることではない。
そこでトンネル通過は断念、山の上を登って反対側に降りることにする。
ちなみにグランドの先は親水公園になっていて、園児たちの嬌声が絶えない。
そんな子どもたちの脇を山登り装備のオッサンが通り抜けるのは気が引けたが。
写真は反対側に抜け、トンネルの富士見側出口を見降ろしたところ。
傍らの古そうな杭も鉄道関連のものだろうか。
富士見側坑口からトンネル内部を少しだけ覗いてみた。
写真は振り返って撮影。
レールこそ外されたものの、出口部分には今も当時のままの枕木が整然と並んでいて、在りし日の郷愁を呼び起こされる。
側面には明治の仕事らしいしっかりとした重厚な石組みがみられる。
自分で言うのもなんだけど、趣きのある1枚が撮れた。(^.^)v
トンネルから橋までは掘り割りの真っ直ぐな道。
両側は往時のきれいな切り通しがそのまま続いている。
ここにもまだ両脇に電柱が残されているのがわかるね。
そして再び立った、「立場川橋梁」の端。
白いプレートの足場が右側になった。
先ほどとはちょうど反対側ということになる。
緑の若葉はさわやかだけれど、放置されたままの赤茶けた鉄骨がうら悲しい。
クライマックスで列車ごと鉄橋が崩壊する、映画「カサンドラクロス」のようじゃないか。
(観たことはないが (~_~;;
いやこの構図、この橋にも似ているかな。
それにしても77年間、長かったね。ご苦労さま。
(終わり)
トンネルから立場川橋まで歩いたよくわかる動画はこちら
↓
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