取り残された中央線遺構・立場川橋(1)
ここは長野県、JR中央線の富士見駅から東京寄りに500mほど寄った所。
右に走っているのが現在の中央本線の線路。
前方が東京方面ということになる。
左の砂利道を下った先、草むらの向こうに古い電柱が立っているのが見えるだろうか。
(マウスを置くと画像が切り替わります)
こちらが昭和55年に廃止された、単線だった旧中央線の跡。
つまり、ここが新旧中央線の分岐点なのだ。
上の分岐点からさらに800mほど移動してきた。
カラフルな電車(E257あずさ?)が渡ろうとしているのは立場川。
コンクリート橋は立場川に架かる現在の中央本線・新立場川橋になる。
長さ339mに及ぶ巨大な鉄道橋で、完成は1980年(昭和55年)。
ところで見て欲しいのは、その奥に見える赤茶けた古い橋のほうだ。
新旧の中央線はすでにこれだけ離れてしまった。
橋の名前はこちらも「立場川橋」、旧中央線の橋だった。
アメリカンブリッジという会社が製作し、はるかペンシルバニアから海を渡ってきた。
長く中央本線の往来を支え続けたが、輸送力増強を目的に複線化が進み新線への切り替えに伴いお役ご免ということになった。
明治37年から通算77年間のお勤めだったことになる。
近づいてみると、橋脚の下部は頑丈な石造り。
いっそうこの橋の勇壮さが伝わってくる。
正式には「上路平行弦プラットトラス橋」といい、全長は64mという。
右手、道路を跨ぐ部分はガーダー橋になっている。
(よくガーター橋と書かれるけれど、girder(桁、梁の意味)だからガーダーが正しい。
ガーターは女性の靴下どめだ)
さっそくその堰堤の上に登ってみる。
雑草が生い茂っているが、まだ電柱や白く朽ちた枕木がそのまま残されているのがわかる。
前方、かすかに見えるのが目的の「旧立場川橋梁」だ。
なお背後には瀬沢トンネルが現存するが、いまは水路となり静かに第2の人生を送っている。
鉄橋の本体部分はすでにレールも枕木も取り外され、鉄骨が剥き出しになっている状態。
左脇には保線用に貼られたものだろう、白く見えるプレートの足場があるが、それすらも一部抜けてしまっているのが前方に見える。
危ない、危ない。
もちろん立ち入り禁止になっている。
線路跡は鉄橋のさらに向こうまでずっと続く。
よし、クルマに戻り、今度はその向こう側に行ってみよう。
(続く)
| 固定リンク
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 稲又川橋が消えた(2021.12.12)
- 「波の伊八」の飯縄寺(2021.06.08)
- 巨大鳥、千葉に飛来(2021.06.04)
- 南極で地震(2021.02.05)
- 移住したい国(2021.01.25)
「歴史」カテゴリの記事
- 鳴かぬなら、どうしましょ、ほととぎす(2023.04.23)
- 怪我の功名だったかも(2019.12.26)
- ツタンカーメン王の頭像、6億円也(2019.07.05)
- 『インカ神殿』再び(2017.12.28)
- 清水沢の百庚申(2017.12.22)
「遺構」カテゴリの記事
- 木造トラスが残る『旧落合橋』(2017.11.24)
- 【廃村】平清水集落(富士川町)(2017.07.12)
- 【廃橋】旧反場橋(西会津町)(2017.06.06)
- 【廃校】屋敷小学校(西会津町)(2017.05.22)
- 【遺構】奥川森林鉄道跡を歩く(後編)(2017.05.19)
「橋」カテゴリの記事
- 落橋したボルチモア橋(2024.03.28)
- 木造トラスが残る『旧落合橋』(2017.11.24)
- 複線の想い出(御殿場線)(2017.07.04)
- 【廃橋】旧反場橋(西会津町)(2017.06.06)
- 【遺構】奥川森林鉄道跡を歩く(後編)(2017.05.19)
「鉄道」カテゴリの記事
- ヤギの恩返し(2022.07.11)
- 蒲蒲線で GO!(2022.06.08)
- ワ●ベさんに叱られる(2022.03.03)
- 『一千万円の踊り子号』売れた!(2021.04.21)
- 強風一過(2021.03.03)
コメント
…”カサンドラクロス”という映画をご存知でしょうか。昔見て、とても怖くて印象に残っています。この橋をみて、その映画をまた見たくなりました。それにしてもよく、こんなに謎のスポットをご存知ですね。いつもすごいと思っています。
投稿: ぴょん | 2011.06.08 17:46
ぴょんさん
映画「カサンドラクロス」……
あの
(2)のほうに書いてあるんですけど。
投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2011.06.08 18:03
あ、すみません… 本当ですね。おばかの極みでした。大好きな映画であるだけに嬉しいです。
投稿: ぴょん | 2011.06.08 21:05
ぴょんさん
いえいえ。
「おばかの極み」なんて、また時代がかった。
ハマカーンみたい。(ご存じないか)
映画、なおさら観てみたくなりました。
でも、TSUTAYAの会員じゃないし……
ネタはもっぱら図書館やネットで探します。
現地の特定に悩むケースも多く、やっと探し当てたときは大興奮です。
ただ、せっかく行ってももう撤去・解体されていた、なんていう空振りも多いんですよ。
遺構探検は、ある意味「時間との戦い」なのであります。
投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2011.06.09 05:25