大仁金山に残るインクライン(後編)
ネコちゃんのアドバイスにより、正面攻略ではなく、鉱山左手横から登る作戦に変更した。
つまり、搦め手攻めというやつだ。
こちらからだとさらに急傾斜になるが、なに滝に比べればまだたやすい。
見上げるコンクリート塊は、まるで要塞のように挑戦する者を威圧する。
昔の城攻め、石垣攻めもこんなんだったんだろう。
それでも上から矢を射られたり、石を落とされたりしないだけ、幸せな挑戦ではある。
上がるとそこは見通しが効かないほど一面のヤブ。
加えて足元にはこんな「落とし穴」が待ち受けているので、探検するなら注意が必要だよ。
(誰が行くか)
さらに登り詰め、山の一番奥まで達するとこんな怪しい小屋が現れた。
いくら下から見上げても、この位置ではその存在すらわからない。
閉山からすでに40有余年、こんなのがまだ解体されずに残っていたんだな。
鉱山最上部にして最左端という位置関係、これがインクラインの動力小屋に違いない。
小屋に入り、怪しげな木製の足場から下を覗くとワイヤーが巻かれたままの大きなウィンチがあった。
さらに、手前にはワイヤーの角度をコントロールするプーリーもしっかりと残っている。
間違いない、ここがインクラインの動力部だった。
すごい!
たいていは朽ち果てているのだが、これだけ完全に残ったインクライン動力部を見るのは初めてだ。
(マウスを置くと画像が切り替わります)
探索を終え、再び住宅が見える鉱山の前端部分まで戻った。
ここは大仁鉱山の最上部。
下からはおよそ100mもの高さがある。
廃墟となった今も、鉱山はなお遙かな街を見下ろし続けていた。
鉱山の 廃墟となりて 薮枯らし
(終わり)
インクライン小屋の様子がよくわかる動画はこちら
↓
・玄倉鉱山跡はこちら。
・渋沢鉱山跡はこちら。
・坂口鉱山跡はこちら。
・坂口鉱山跡パート2はこちら。
・東沢鉱山跡はこちら。
・日影沢鉱山跡はこちら。
・麓金山跡はこちら。
・玄倉鉱山跡パート2はこちら。
・山田鉱山跡はこちら。
・奥沢鉱山跡はこちら。
・富栖鉱山跡はこちら。
・須玉(増富)鉱山跡はこちら。
・川尻鉱山跡はこちら。
・梓山鉱山跡はこちら。
・オイ沢鉱山跡はこちら。
・明神鉱山跡はこちら。
・持倉鉱山跡はこちら。
・倉沢鉱山跡はこちら。
・峰之沢鉱山跡はこちら。
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・寝姿山鉱山跡はこちら。
・矢筈山鉱山跡はこちら。
・縄地鉱山跡はこちら。
・茂倉鉱山跡はこちら。
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