千曲川岩鼻の岩壁に残された旧洞門
長野市と上田市とを結んだ県道77号線。
昔北国街道と呼ばれたこの部分はいま国道18号線のバイパスに昇格し、県内の物流と観光とを支えている。
見えているのは『岩鼻』という千曲川随一の難所。
右岸の崖を下塩尻岩鼻(しもしおじりいわはな)、左岸の切り立った110mの断崖を半過岩鼻(はんかいわはな)と呼んで区別される。
地質学的にも違うしね。
いずれも千曲川の激流が岩肌を削って作ったもので、最近はフリークライミングの舞台にもされているらしい。
土手で見えないが、その向こう側に千曲川が流れている。
かつて前田の殿様(加賀)は、この難所を無事通過すると安否を伝えるためお国に飛脚を走らせたほどだったという。
写真中央を左右に走っているのが国道の新しいバイパスで、左端に見えるトンネルで今はこの難所を通過している訳だ。
バイパスの下を潜り抜け河原側に廻ってみると、岩鼻の岩肌に大きな穴が見える。
これも氾濫した千曲川が造り上げたものという。
今よりも河床の位置が高かった訳だ。
ちょうどその下にかつて使われていた道路の建造部が姿をみせている。
すごい所を通っていたんだな。
旧道は岩肌を穿った片洞門だったことがわかる。
岩は角閃石ひん岩というもので、エジプトなんかによくあるタイプらしい。
もしかして、ピラミッドにも使われた?
しかしこの難所では崩落が繰り返され、危険な状態が解消しないことから新たに上記の岩鼻トンネルが計画され平成18年に完工。
これに伴い、洞門のほうは放棄されることとなった。
そこがいまどうなっているか、見てみよう。
これが放棄され、雑草の住み処となってしまった旧洞門の内部だ。
今は高く伸びた雑草に覆い尽くされ、近寄ることすら妨げられる。
洞門の造りはずいぶん頑丈そうに思えるけれど、それでも各所に亀裂があるのが素人目にもわかる。
やっぱりこのまま残すことは無理だったんだろうな。
長い間頑張りました。
もう廃道にしていいですか?
ハイ、ドウぞ。
草をかき分け歩いてみたよくわかる動画はこちら
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