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おむすび山の聴音壕

ここは桂川(大月市)を渡る大月橋という橋の上。
道路は甲州街道(国道20号線)だ。

Kanshisho_01
白い建物は大月市立中央病院。
250床を数える総合病院で地元医療のまさに中枢。
で、今回の目的はその背後にある小山。

Omusubi_sその名も可愛い『おむすび山』という。
どうお、おむすびに見える?
(マウスを置くと別角度から)

Kanshisho_02
おむすび山、標高わずかに463m。
下の道からの高低差だって100mほどもないが、急な登りは結構きつい。
なお、ここにはカタクリが群生していて、春にはその花を目当てに訪れる人も多いんだとか。

Kanshisho_03
山頂に出た。
頂上に隠れているこの石垣で作られた直径4.5m、深さ1.5mほどの丸い穴。
これが見たかった。

ここは旧陸軍の『大月防空監視哨』跡。
このおむすび山、尾根続きの西方は視界は悪いが、南の富士山方向は良くみえる。
当時東京を空襲したB29は、サイパン島を発進して富士山を目標に飛行、ここから東に進路を変更して飛行していた。
そこでここ大月から敵機の飛行を監視していたんだね。
正式名を『聴音壕』という。

昭和17年の本土初空襲をきっかけに設置され、監視は24時間の3交代制。
昼は双眼鏡で空を監視、夜はこの聴音壕の中で飛行機の音を聴き分け方向や機種を探り、情報を電話で本部に伝えていたのだという。
原始的に思えるが、訓練によって叩き込まれたその聴音の精度たるや、機種を間違えることなど決してなかったそうだ。
しかしその当時、先方はすでにレーダーを使っていたのだからやっぱり敵わない。

Kanshisho_04
これは逆に北側を望んだものだけど、かなりの高度感が感じ取れる。
先ほどの20号線は手前の木の陰、中央部を横切るのは中央高速だ。
そのさらに奥に広がるのは花咲CCというゴルフ場。
聴音壕の中で敵機と対峙した兵隊さん、戦後の日本がこんなに平和になってゴルフに興じているのが見えますか。


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コメント

たなぼたさん
ウチのそばの山にも戦下、米軍機を監視して反射光で遠方に信号を出したらしい防空壕址がありますよ。あたりはかつていろんな陸軍施設がありましたからね…。

投稿: 山おばさん | 2011.12.12 13:57

山おばさんさん

そうなんですか。
一般に、小山の多い所にはそうした施設が残されているようですね。
でも、「おむすび山」って可愛すぎません?

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2011.12.12 15:14

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