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日原部落のトロッコ電車(前編)

ここは東京の奥地・日原にある、診療所の敷地。
かつては奥多摩町立日原小学校だった所だが、人口わずかに約60人まで減少。
小学生がゼロになったことにより平成6年に閉校となった。
いま一番近い氷川小学校まではバスを使って約30分。
小学生がいる場合にはその氷川小学校まで通学することになる。


Truck_01
日原小学校の教室だった建物はいま住民の集会所に。
また保健室はそのまま日原診療所になっている。
その校庭だった片隅に、ここ日原で石灰石を運び続けたトロッコ電車がこうしてレールと共に保存されている。
狭い校庭だけど、日原ではここが一番広い平地なんだそうだ。


Truck_02
トロッコの正面をみると、菱形に文字をあしらったこの会社のマーク。
ここで石灰石を採掘している『奥多摩工業』という会社の『奥』の字をアレンジしたマークなんだね。
なるほど。


Truck_03
不快なきしみ音がする重い扉を開け、運転席を覗いてみた。
操作レバーが正面に見えるけれど、窓があることでわかるように電車の実際の正面は右手側。
つまりこれは横向きに撮影したもの。
それにしても横に操作レバーがあるなんて、電車の運転席としても珍しいレイアウトなんじゃない。
一方、正面のこの丸ハンドルは何のためなんだろう。
尾崎豊じゃないけれど、決められたレールの上を走るだけなんだから電車に丸ハンドルは要らないよね。
あるいはバケットを操作するためのもの?


Truck_04
製造プレートをみると、トロッコは三菱製であることが判明。
500両以上も作ったんだね。
ただ同じ三菱でも、三菱重工じゃなく家電でお馴染みの三菱電機のほうなのが興味深い。
三菱電機は三菱重工から分離した会社だし、なんか三菱重工のほうが重厚、三菱電機のほうは家電というイメージがあるから。
(エアコンは三菱電機が霧ヶ峰、三菱重工業はビーバーだ)
調べたら、電車部門でも両社は競合しているんだね。
三菱電機は東京・大阪の地下鉄や阪神電車、一方の三菱重工は湘南・千葉モノレールや台湾新幹線なんか作ってる。

ちなみにトロッコのスペルが「truck」なの知ってた?
同じスペルなのに、電車のほうは「トロッコ」、クルマのほうは「トラック」になっちゃったんだね。
あのヘボン宣教師vsキャサリン・ヘップバーンみたいなものか。

次はこのトロッコ電車が実際に活躍していた厳しい現場を見に行こう。

日原部落のトロッコ電車(後編)に続く。

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コメント

おはようございます

奥多摩工業の奥の字をアレンジしたマーク、とてもセンスがいいですね。最初は「アルファベットで頭文字をデザインしたもの」かと思いましたが、漢字を元にしていてこのセンス、素晴らしいですね。

私も、この製造プレートを見て「え?、三菱電機??、三菱重工じゃないの???」と思いました。どうしてなんでしょうね。

ところで、日原は「にっぱら」と読むんでしたっけ、たしか鍾乳洞があったような・・・。穴好きのたなぼたさんのことだから、きっと探検してますよね(*^^)v

投稿: poohpapa | 2013.01.03 06:27

poohpapa さん
おはようございます。

奥多摩工業(http://www.okutama.co.jp/)は今もあるんですが、残念ながら社章は変わってしまったようです。
日原は、そう「にっぱら」ですね。
奥多摩の鍾乳洞は昔ほとんど行ったことがあるんですが、今回は入りませんでした。
基本的にいま、入場料が必要な所はパスなんであります。
生活苦 (=^^=)

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2013.01.03 07:20

いつも拝見しております。

さて、運転席の丸ハンドルですが、ブレーキハンドルではないでしょうか。一番左がマスコンハンドルで、これを動かすことによって加速します。その隣が逆転ハンドルで、これは前進や後進の切り替えに使用するものです。丸ハンドルの隣にあるレバーが何の為にあるのか不明ですが、少なくともブレーキ弁ではないでしょうから、そうしますと、丸ハンドルはブレーキハンドルということになります。空気ブレーキではなく、手動ブレーキですね。ハンドルを回してブレーキシューを車輪に押し付けるのでしょう。

恐らく間違いないと思いますが、もし間違っていたらすみません。

投稿: OTIS | 2013.01.04 21:57

OTIS さん
はじめまして。
ご教示、ありがとうございます。
なるほど、ブレーキを機械的に操作するためのハンドル。
だからある程度微妙な操作ができる構造になっているんですね。
すっきりしました。
これからもよろしくお願いいたします。

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2013.01.05 05:26

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