信州観光ホテルの封鎖された入口からわずか50メートルほども歩を進めると、地元観光タクシーの車庫がある。
しかしよく見ると、この真夏でさえここから山肌に向かって緑が少し窪んでいることがわかるだろうか。(赤矢印部分)
樹々を貫くような直線状に低くなっている部分があるのだ。
その最上部はV字型にえぐれていて、アップにするとそこには緑色の鉄骨構造物が見える。
(マウスを置くと画像が切り替わります)
そう、ここにはかつて山の上までロープウェイがあり、すでに架線や駅舎などすべては撤去されたものの、ここは麓駅だったところなのだ。
それなら山頂の施設を確認しようと登ってきた道の途中。
ロープウェイ関連のものなのか、曰くありげな照明灯のようなものが樹々に隠れて残されていた。
頂上駅とおぼしきところまで登るとそこには「日本歴史館」という建物があった。
中には歴代天皇陛下の肖像画等があるらしい。
事業の倒産後、八十二文化財団というところが今も運営していて予め連絡をすれば今でも内部を見せてもらえるようだが、「館内撮影禁止」という札があったのでパス。
それよりも一番奥の建物の先を見て欲しい。(赤矢印部分)
緑色に塗られたのがさっき下の麓駅から見上げた鉄骨。
ケーブルを支える滑車もみられ、明らかにロープウェイのものだ。
ただ残念ながら頂上駅周辺は封鎖されていてこれより近づくことはできなかった。
出典:上山田町編纂『上山田の百年』
調べると、ロープウェイは昭和40年代に信州観光ホテルグループの城山観光開発という会社が設置したもの。
正式名を「城山ミニロープ」といい、城山の山頂駅と温泉街の山麓駅とを12名乗りの小型搬器がわずか3分で結んでいたという。
正式には1992年(平成4年)、親会社の倒産と共に23年間に渡るその歴史を静かに閉じた。
それでも山の樹木はまだ当時の爪跡をかすかに伝えていた。
・伊豆玄岳の廃ロープウェイはこちら。
・奥多摩湖の廃ロープウェイはこちら。
・籠坂スキー場の廃リフトはこちら。
・上山田温泉の遺構1信州観光ホテルはこちら。
・上山田温泉の遺構3城山史跡公園に続く。
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