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トモロ岬を照らす稲取・旧灯台

トモロ岬は昔から伊豆稲取の難所と言われた所。
地元漁師が幾度も灯台設置を願い出たが入れられず、ついには地元の篤志家が自費と寄付を募って工事を始めた。

Toudai_01
構想から20年近くを費やし、1909年(明治42年)ついにマントル式の小さな灯台を完成させた。
それがこの旧稲取灯台。


Toudai_02
灯台脇には立派な石碑が建てられている。
(マウスを置くと画像が切り替わります)
真潮路の ゆくてはくらし しけぬまに
    とく帰り来な この灯 めざして

という、萩原すげさんの歌碑。
萩原すげさんて誰?


Toudai_03
実はこの手動で点滅させる石油燃焼式のマントル型灯台の運営には、正規の有資格者が必要とされていた。
そこで当時17歳の少女・萩原すげさんが選ばれてその資格を取得、日本最初の女性灯台守として就任したんだね。
以来、1945年(昭和20)までの37年間、灯し続けたという。

1982年(昭和57年)、灯台は整備され東伊豆町から文化財に指定された。

現場で撮影したよくわかる動画はこちら

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コメント

おはようございます

船舶の安全航行、人の命に関わることなのに、度重なる陳情に対しても役所が動かなかったのはどういうことなんでしょうね・・・。昔も今も「前例が無い」とか「うちの所管ではない」とかの理由なんでしょうか??

『真潮路の ゆくてはくらし しけぬまに
    とく帰り来な この灯 めざして』

この歌、「人の情け」「思い遣り」がこもっていて、読んでいて涙が出ます。

しけた夜の海で、船乗りたちは灯台の灯りを見ると、「よし、これでもう大丈夫、家に帰られる」と安堵したと聞きます。定時まで役所の机に座っていれば給料が貰える人には解からないことかも、などと思ってしまいます。

投稿: poohpapa | 2013.07.16 06:17

poohpapa さん
おはようございます。

役所が却下した理由はいま調べても良くわかりません。
しかし、それでいながら民間が作ったマントル灯台に、「灯を灯すには資格が要る」なんて、昔も今も変わらぬお役所体質ですね。
萩原すげさんは、資格取得の学習のため稲取から下田の御子元灯台事務所まで通ったそうです。
もちろんクルマもない明治時代、今でも険しい海岸線を10代の少女が通いつめたんですから敬服するばかりであります。

ちなみにこのトモロ岬の海岸線に「はさみ石」という奇岩があるのですが、今回激ヤブに阻まれ到達を断念しました。
冬になったらもう一度トライしてやる。

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2013.07.16 07:03

良いお話ですね。
漁師の方々が必要性を訴えて役所に行ったのに
却下されてしまう。当時のお役人は偉かったんでしょうね。
まあ、今でも同じかもしれませんが。
また、萩原すげさんの詩が良いですね。

私も親が漁師をしていて、何度か海に連れて行ってもらいました。
灯台のありがたさをまた痛感している次第です。

投稿: いはち | 2013.07.16 07:55

いはちさん
おはようございます。

灯台、漁師さんにとっては命の手綱ですものね。
手作業の灯台守って、どれだけの時間仕事をしていたんでしょう。
まさか毎日、夕暮れから夜明けまで?
子供の頃、「老楽岬の~ 灯台守は~♪」という唄が流行りましたが、タイヘンな仕事ですね。

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2013.07.16 08:36

たなぼたさん。トモロ岬は近くにありながら、行ったことなく、灯台のいきさつ初めて知り、感銘を受けました。
ところで、この辺下田からの東浦路が通っているとかで、加藤清志さんの「伊豆東浦路の下田街道」を見てみましたら、
萩原すげさんの自宅は旧灯台の近くに在り、現在息子さんである町の元教育長光一さんがおられ、資料館になっているそうで、一辺ぜひ行って見たいなと思いました。
探訪ありがとうございました。

投稿: せいざん | 2013.07.16 17:02

せいざんさん

資料館は灯台のすぐ下にあります。
というか、資料館の前を通らないと灯台には行けません。
不在でしたが。
東浦路は、灯台の下の緑の中の細道をさらに行く筈ですが、僕が訪ねた時には「危険・立ち入り禁止」の札とロープで閉鎖されていました。
(動画の最初の部分に映っています)

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2013.07.16 18:02

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