明治の治水「荏沢川石堰堤」(千曲市)
龍洞院架道橋からほど近く。
といってもそれは地図上の話で、山際のことゆえ実際にはかなり大廻りを強いられるが、荏沢川という小さいが急な流れの川端に来た。
長野自動車道を潜ってさらに坂を登った山中になるが、ここにも国指定の貴重な登録有形文化財があるのだ。
それがこれ、『荏沢川石堰堤』(えざわがわせきえんてい)という。
その名の通り、治水のため石組みで造られた堰堤なのだが、これが明治の名もない仕事だというから素晴らしい。
2009年(平成21年)、国の登録有形文化財に指定された。
(マウスを置くと画像が切り替わります)
この建造に関して、1882年(明治15年)起工の内務省直轄砂防事業であることはわかったものの、満足な史料がなく、長い間その価値が知られずに埋もれていたという。
だから例えば石堰堤の設置数は一応1号から3号までとなっているがこれも最終的なものではない。
また建設時の人員、工費も不明、苗木植え付けの詳細等についてもよくわかっていないのだという。
一番下の3号堰堤。
ここはさらに傾斜が急なので堰堤仕組みの特徴が顕著だ。
普段水が流れる河道は自然石を積み上げた流路工が、また万一増水して川幅が増大したときにも護岸が崩れることにないよう両岸も自然石で補強されている。
どこか、松本市の牛伏川フランス式階段工を思わせる風景だね。
現場で撮影したよくわかる動画はこちら
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