春野町の旅(3)気田森林鉄道・仙郷橋
春野町の旅(2)旧王子製紙レンガ倉庫から続く。
レンガ倉庫からさらに進むと国道362号線は浜松「市内」ながら深い山あいに分け入っていく。
すると国道沿いの杉川に、新旧二つの橋が掛かっているのが視界に入る。
奥の赤いガーダー(桁)橋は現行の仙郷橋。
手前、灰色のコンクリートアーチ製のものはかつて活躍していた旧仙郷橋だ。
実はこの旧仙郷橋、昔この杉川支流である気田川に沿って遠く水窪町まで通じていた「気田森林鉄道」のために架けられたもの。
当時、この細い橋の上をガソリンエンジンを動力にした機関車が上流で切り出され材木を積んだ貨車を引っ張って往来していたそうだ。
橋まで降りてみよう。
足元は途中一部崩れていて、意外とスリリング。
右の急傾斜を滑り落ちればそのまま杉川だ。
最初の写真のように、上からは結構な高度差がある。
草むしたこんな細い橋に機関車が走っていたとは考えにくい。
擦り切れた銘板から文字を読み取ることはできないが、「仙郷橋」と書いてあった筈。
橋は1935年(昭和10年)に完成という。
森林鉄道は線路幅762mmの軽便鉄道規格(新幹線のレール幅は1,435mm)ということで、幅も狭いしカーブもきつかったそうだ。
1933年(昭和8年)に着工した気田森林鉄道は、太平洋戦争をまたいだ1951年(昭和26年)になってやっと約33キロの全線が開通。
しかし全国的な林業の衰退により1959年(昭和34年)には早くも廃止。
全線が開通していた期間は、わずか8年間という短命路線だったことになる。
そう考えると、上から見て美しかったこの草からも、悲しい「廃」の息吹が聞こえて来るようではないか。
「はい」
春野町の旅(4)茶畑大崩落現場に続く。
| 固定リンク
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 稲又川橋が消えた(2021.12.12)
- 「波の伊八」の飯縄寺(2021.06.08)
- 巨大鳥、千葉に飛来(2021.06.04)
- 南極で地震(2021.02.05)
- 移住したい国(2021.01.25)
「歴史」カテゴリの記事
- 鳴かぬなら、どうしましょ、ほととぎす(2023.04.23)
- 怪我の功名だったかも(2019.12.26)
- ツタンカーメン王の頭像、6億円也(2019.07.05)
- 『インカ神殿』再び(2017.12.28)
- 清水沢の百庚申(2017.12.22)
「遺構」カテゴリの記事
- 木造トラスが残る『旧落合橋』(2017.11.24)
- 【廃村】平清水集落(富士川町)(2017.07.12)
- 【廃橋】旧反場橋(西会津町)(2017.06.06)
- 【廃校】屋敷小学校(西会津町)(2017.05.22)
- 【遺構】奥川森林鉄道跡を歩く(後編)(2017.05.19)
「鉄道」カテゴリの記事
- ヤギの恩返し(2022.07.11)
- 蒲蒲線で GO!(2022.06.08)
- ワ●ベさんに叱られる(2022.03.03)
- 『一千万円の踊り子号』売れた!(2021.04.21)
- 強風一過(2021.03.03)
コメント
私の好きな廃線跡ですね。
しかも軽便鉄道の。
この橋の上は歩けるのでしょうか?
橋だけに端を歩け・・何て答えが返って来そうですが。
失礼をいたしました。
投稿: いはち | 2013.12.23 16:01
いはちさん
はい、歩けますよ。
とても雰囲気があっていいところです。
>橋だけに端を歩け・・
そんなこと言いませんよ。
歩かないで橋ってください。
投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2013.12.23 16:05