峰之沢鉱山探索(4)インクライン発見
峰之沢鉱山探索(3)山中の遺構より続く。
あることに気がついた。
これまで対岸から見えた森の中の線がインクラインの跡であるとの前提でずっと探索してきた。
しかしこれはこの写真のようにU字型に掘られた水路なのではないか。
実際、水路の上にはこのように大きな樹木は植えられていないし育ってもいない。
だからこれが線となって対岸からは見えたのではないか。
探索していた位置が水路だとすれば、インクラインはこのラインとは異なる位置にあったことになる。
そう考えを変え、場所を移して探索を再開した。
するとどうだ、樹々の間に現れたこの橋のような人工物。
これはもしかして求めるインクライン?……
すぐさま脇から廻って降りてみると、この迫力。
やった! これこそインクラインに間違いない。
ついに発見した。
驚くほどの高度感。
素晴らしい。
コンクリートアーチのデザインもみごと。
傾斜角度も斜面に合致した納得のいくもの。
これぞ求めていたインクラインに間違いない。
全体を入れるため、できるだけ森の中を下がって撮影。
しかし残念ながら残されていたのはこの部分だけ。
したがってこれがここの遺構のほぼ全体像ということになる。
雨風が凌がれるためか裏側はとてもきれいで、つい最近建設されたもののようにすら感じられる。
最前部から下方向を撮影したのがこの写真。
ほら、前方には成長した樹木が覆い茂っている。
これじゃ空からはわからない。
つまり、対岸から見えたラインはやはり水路のものであって、インクライン跡ではなかったんだね。
そもそもインクラインは2本あったのだから、痕跡が残るならそれも2本あっていい筈なのだし。
現場で撮影したよくわかる動画はこちら
NPO法人「天竜川・杣人の会」提供
さてもう一度当時のインクラインの絵葉書。
住人の生活の大切な移動手段だったことがこれでわかるが、風の強い時などさぞ怖かったことだろう。
しかしよく見ると、コンクリート製アーチのデザインが発見したものとは微妙に異なることに気付いた。
単なる場所による意匠の違いなのか疑問は深まるが、現地はもう雪に覆われていることだろう。
最後は坑口の探索だ。
峰之沢鉱山探索(5)塞がれた坑口に続く。
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コメント
すごいですね。
盛り土をして法面工事では無く、石垣を組んでインクラインの
橋の土台の基礎を造って有る様です。
それと葉書を照らし合わせると橋の形状は違うのですが
基礎となる部分は四枚目の写真と同じ場所のようです。
植物の生長もすごいですね。
橋は建て替えたのでしょうかね?
投稿: いはち | 2014.01.13 13:53
いはちさん
閉山となってから50年弱なんですが、その荒廃ぶりは目を見張るばかりです。
そしてヤブならともかく、ちゃんとした杉がその上にこれだけ生長してしまうのですから驚きました。
そのため見通しがきかず、これだけのものが人の目に触れなかったようです。
形状については疑問が増すばかりですね。
投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2014.01.13 14:09