« スポーツだってやっぱり人格だよね | トップページ | 芥川賞・直木賞も、女性の時代 »

落書きだって凄いぞ 「ブロックアート」

神奈川県の景勝地・真鶴半島に来ている。

Blockart_01
遊歩道から海に向かってヤブに覆われた小径を抜けると相模湾を望む高台に出る。
はるかに見えるのは熱海の初島。
全体に険しい真鶴半島だが足元はほどよく整地され、落ち葉を積み重ねた広場のようになっている。
しかしその両脇に、自然林には不似合いな鉄骨が数本、垂直に立つのが見える。
信じにくいことだが、今自分はある建物の上に立っているのだ。


Blockart_02
広場の脇から廻って建物が見える位置までやって来た。
ほーら、ここからは枠組み丸出しの建物外観が見える。
一見、マンションのよう?
いや実はここ、海を望むバーベキューハウスとして計画されたものという。
だから部屋のようになっているのはそれぞれが独立したバーベキューコーナーという訳。
その頑丈な印象から、別名「焼肉要塞」との異名も。
最初の写真はこの屋上に立って撮ったことになる。


Blockart_03
いま建物への通路はなく、一番近い部屋にも牢獄のような鉄柵が嵌められているが、その一部はすでに先人によって解放され出入り自由になっている。
しかしこの大量に積まれたものはなんだ。
これみんな塗料のスプレー缶。
そう、これらがこの建物の特徴を暗示している。
それにしても逆に内部から見た鉄格子の光景はまるで牢獄のようじゃないか。
(マウスを置くと画像が切り替わります)
(実物に入ったことはないが)


Blockart_05
入ると建物内部のすべての部屋や通路の壁がくまなくカラフルな絵で埋め尽くされている。
そして足元にはローラーや刷毛も残されていた。
これらがすべてここでのペイントの道具。
スプレーばかりじゃなかったんだね。


Blockart_06
外から見えたように内部は三階(層)になっていて、コンクリート打ちっ放しのちょっと危なげな階段を使えばすべての階に行き来ができる。
建物はしかし建築途中で強度不足が発覚、当局から建築許可が降りずに中断を余儀なくされたそうだ。
そのまま放置されてからすでに40年も経つという。
その間に壁という壁はこのように若き「芸術家」らにより落書きで埋め尽くされた。
壁がみなブロックで積まれていることから、「廃業界」では「ブロックアート」という名称が定着している。

壁画の中にはなかなかのセンスのある秀作も混じっていて感動させられる。
とてもそのすべてをここには載せられないが、その一部を下に紹介しよう。
一番最後の写真のみ、わかりにくいので拡大できます。(窓があって借景になっている)

Blockart_101 Blockart_102

Blockart_103 Blockart_104

Blockart_105 Blockart_106

Blockart_107 Blockart_108

Blockart_109 Blockart_110

Blockart_111 Blockart_112

現場で撮影したよくわかる動画はこちら
                

|

« スポーツだってやっぱり人格だよね | トップページ | 芥川賞・直木賞も、女性の時代 »

旅行・地域」カテゴリの記事

芸術」カテゴリの記事

遺構」カテゴリの記事

コメント

わあ、すごいパワーが伝わってきますね。
こんなところに埋もれさせておくのがもったいないくらい。
ご紹介ありがとう~

投稿: hicha | 2014.01.16 08:54

hicha さん
ありがとうございます。

たくさんの作品がありますが、ファン(?)の間で一番人気なのは大作『パーマン』のようです。
(ワイドなので写真にはありませんが、動画に映っています)

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2014.01.16 09:00

おはようございます

この鉄柵は、まるで刑務所のようですね・・・。

強度不足で建築許可が下りなかった、と言いながら未だ残っているのが不思議ですが、計画通りにそのまま完成させたなら「もたなかった」ということでしょうか。

例の構造計算偽装のマンション・・・、3.11を経ても全半壊が一棟も無いそうですから、意外と大丈夫だったのかも知れませんね。

投稿: poohpapa | 2014.01.17 06:55

思い出しました、ハイデルベルクの学生牢と似てますね。落書きの感じなんかも・・・。向こうは一部屋ごとの面積が狭いですけど・・・。

「刑務所」より、管理人さんの「牢獄」という表現のほうがピッタリでした^_^;

投稿: poohpapa | 2014.01.17 06:59

あじゃ
しばらくヨーロッパから戻って来ないと思ったら、poohpapa さんはハイデルベルクの学生牢に入っていたんですか。
で、今はお家で座敷牢?

許可が降りないとたいてい業者が倒産してしまうのでこんな風に残ってしまうんでしょうね。
おそらく権利関係とかあって行政もなかなか手を出せないのかも。

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2014.01.17 07:36

お坊ちゃま君・・と思われる絵の顔が怖いです。
私は最後の借景を交えた作品が好きですね。
でも、これが完成しても果たしてバーベキューだけを
しにこの空間に何人の客が来たのか?
これがウサギ小屋でしょうか。

投稿: いはち | 2014.01.17 13:14

いはちさん

ほんとだ。
このおぼっちゃまくん、全然可愛くないですね。

海岸に面したこのシチュエーションなら、伝書鳩の小屋に転用すれば良かったのに、と思ってしまいます。

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2014.01.17 14:44

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 落書きだって凄いぞ 「ブロックアート」:

« スポーツだってやっぱり人格だよね | トップページ | 芥川賞・直木賞も、女性の時代 »