持越鉱山(2)【インクライン】
持越鉱山(1)【ジャンダルム】から続く。
骨組みだけになった鉄骨の建物の床には、コンクリートの基礎に沿ってレールが2組敷かれていた。
その間にはさまざまなプラスチツクの破片が散らばっている。
どうやら廃棄物のようだ。
2組のレールを辿っていくと、やがてそれは小さな平地で合流。
つまりポイントによる分岐点となっていた。
しかしレールの間には樹々が生え、さらにそれがまた枯れている。
レールの上をトロッコが通らなくなってどれだけの歳月が流れたんだ。
合流したさらにその先に目をやると、そこにはコンクリート製のプラットホームが。
その間からは急角度で下方に溝が伸びていた。
インクラインだ。
下方へ降りると現工場に着いてしまうので、上方へと向きを変える。
しばらく登ると、崩壊した木造の小屋。
何本も接続された電線が、谷に落下するのをかろうじて防いでいる形。
その上には……
茶色く錆びた、大きな機械たちの群。
モーター、プーリー、ドラム、ワイヤー、そして制御レバー……
そう、これこそインクライン・ケーブルカーの動力制御装置を納めた上部駅舎なのだった。
壊れた木製椅子の前には、まるで電車のようなマスコン(マスター・コントローラー)が。
前進・後退、それぞれに9段階の目盛りが穿たれている。
レバーはもう2度と来ないオペレーターの到着を、いまだ信じて待ちわびているようだった。
まだ残されたままのケーブルと、朽ちかけた電柱のような柱が一本。
その先端には大きな釣鐘が一つ。
かつてはこれを鳴らして下の施設に様々な信号を伝えたんだろう。
しかしもうこの鐘の音が再び響くことはない。
次は坑口を探索だ。
持越鉱山(3)【旧坑口】に続く。
現場で撮影したよくわかる動画はこちら
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コメント
はじめ、三菱のマークが付いたマスコン部分が
洋式トイレに見えてしまいました
仰る通り、もの悲しい風景です。
これから先何年もマスコンを操作してくれる
人を待ちわびるのでしょう。
投稿: いはち | 2014.03.08 12:36
いはちさん
>三菱のマークが付いたマスコン部分が洋式トイレに見えてしまいました
なに、トイレですと。
なんと、失礼な。
プンプン
以上、トイレさんの文句をダイベンしました。
投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2014.03.08 15:15