旧陸軍・遠江射場跡(掛川市)
静岡県の掛川市の海岸線には旧陸軍が戦前に設置した広大な「遠江射場」の跡が残っている。
「射場」とは「試射場」のことで、主に陸軍の砲や砲弾の発射試験が行われていたという。
何もないのにトンネルになった不思議なコンクリート製のものは高さ4m以上、銃撃に耐えられるよう厚さが40センチもあり、トーチカや弾薬庫、そして防空壕も兼ねていたもの。
今は上部が剥き出しだが、かつては上部を砂防林が覆うように被さっていて目立たないようになっていたという。
すぐ脇には高射砲電源供給室だったという建物もある。
トンネル内部をみると戦中のものらしく資材不足だったのだろうかなりの部分ではげ落ちてしまっている。
(マウスを置くと画像が切り替わります)
傍らの畑に点在するコンクリートのかたまりは九九式高射砲が設置されていたという砲座の跡だ。
四角い土台の上にボルト穴も残る八角形の基部が乗っていて、全部で3基残っている。
近くの林の中には「発射指令所兼着弾観測所」だったという建物が見られるが、こちらはヤブがひどくて詳細に観測できなかった。
畑の中に淋しく残されているのは「信管検査観的壕」だったという建物。
銃口のようなスリットもあるが、内部では電気を流したりして信管検査をしていたそうだ。
畑のど真ん中にこんなのが残っていて農作業には邪魔なんだろうな。
赤い屋根の建物は「火薬溶触炉室」だっというが、現在は払い下げられて個人宅の一部になっている。
そのため近くまで行って確認することは叶わなかった。
最後は機材を積み込むために使ったという軍用軽便軌道の駅(プラットフォーム)の跡。
奥の倉庫のような建物も当時のものらしい。
残念ながら、レールなど軌道の痕跡はもう残されていない。
現場で撮影した一部分の動画はこちら
【戦争遺構】
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