矢納水力発電所の廃墟(前編)
「矢納水力発電所」は1914年(大正3年)の稼働。
埼玉県で最も古い水力発電所だ。
これは神流川。
上流(奥)に下久保ダムが完成したので普段は水が少ないが、今回は雨の後でこんな濁流となっている。
赤く映り込んでいるのは神流川を渡る橋(登仙橋)の一部。
橋の左手が埼玉県、右手が群馬県ということになる。
その登仙橋・埼玉県側の袂から急傾斜を降りて行くと現れるのがこの建物。
「矢納水力発電所」跡の廃墟だ。
周辺は緑が深く、上部の県道からはまったくその存在を窺うことはできない。
大きな平屋の建物はレンガ造りの切り妻屋根。
日本土木学会の近代土木遺産に選定されている貴重なものだ。
アーチを描いたガラス窓はお洒落なデザインだが、その多くは破れたまま。
工業施設に付きものの「安全第一」の標語はまだ読み取れるが、プレートの位置がずれてないか?
外観でとりわけ目を惹くのがこの壁に設置された6つの丸いもの。
発電した電力を取り出す、ケーブルのためのものらしい。
これだけが妙にきれいに残っているのがなんだか余計にうら悲しい。
建物内部に入る。
外部の緑が濃いこともあって、中はとても薄暗い。
もちろん発電設備はすでに取り外されていて、がらんどう。
壁の窓も大正時代としてはかなりお洒落だったんだろうね。
振り返って入口方向をみる。
奥の壁の左上が先ほどのケーブル取り出し口だ。
北関東の主要発電所として活躍したが、1966年(昭和44年)上部に下久保ダムが完成すると水流が変わったため、廃止となった。
現在も一応東京電力の管理下にあるが、こうして荒廃したままになっている。
機械類はすでにないが、そうした設備の取り付け部はそのまま。
だからボンヤリ撮影していると蹴つまづき、地下に転落の危険が待っている。
矢納水力発電所の廃墟(後編)へ続く。
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コメント
久しぶりに、窓ガラスこそ割られていますが、あまり荒らされていない良い廃墟ですね。
中からの陽光の緑に廃墟の美を見ました。
落っこちたら誰も来てくれそうもなく、くれぐれもお気をつけて。
投稿: せいざん | 2014.08.26 14:16
せいざんさん
ありがとうございます。
そうなんです。
こんな所で地下に落ちたら、それこそ発見されないままになってしまいそう。
それは淋しいし、そういうの保険金が下りるまで時間が掛かるので、奥さんからダメって言われてます。(~_~;;
投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2014.08.26 14:54