寝姿山鉱山(下田)【後編】
寝姿山鉱山(下田)(中編)から続く。
インクラインとは、鉱山上部の採掘場所から鉱石を運び降ろすためのケーブルカーのような施設。
このプラットホームはインクライン上部で鉱石を積むための施設。
そのため分厚く頑丈な造りになっている。
つまり解体するのも難儀だからこうしていつまでも残っているんだな。
なおここが標高約140mだったので、上部からの探索では真上まで来ていながらあと10mが降りられなかったことになる。
プラットホーム部からさらに歩を進めると、崖に囲まれた小さな広場。
鉱石を砕いたりある程度選別をした作業場だったんだろう。
一部には濁った水が溜まっていたが、鉱山だけに少々不気味。
(マウスを置くと画像が切り替わります)
その周辺にも平らに整地されたか所がいくつかみられた。
うん?
茂みの奥に、何やら穴?
まさにこれが寝姿山鉱山の坑口だった。
坑口は大人がかがんで入れるほどの高さ。
でも、色の付いた水は怖いので入らなかったけど。
内部は荒々しい素堀りのままで、お隣り敷根山にある伊豆石の石丁場とは異なる頑強な石の硬さが感じられた。
従前からこの寝姿山(万蔵山)の石は流紋岩で、カリウムを多く含んでいることが知られていた。
そのため戦時中、輸入が途絶えた肥料を国内で生産するために『日本肥料』という会社が国策でここに鉱山を開き、カリウムを発掘していたんだね。
都合、3回に渡る探索でやっとその全貌をみることができた寝姿山の鉱山跡。
急傾斜のインクライン道も、辛かった上りとは一転、帰りは快適なハイキング道に感じられるものだった。
・大仁金山のインクラインはこちら。
・道志第一発電所のインクラインはこちら。
・峰之沢鉱山のインクラインはこちら。
・湯ヶ島鉱山のインクラインはこちら。
・持越鉱山のインクラインはこちら。
現場で撮影したよくわかる動画はこちら
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