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忘れ去られたアーチ橋台【前編】

中央本線は何回も曲線改良が行われた路線。
また複線化工事の際にも多くの付け替え工事が行われたため、廃線になった部分も多い。
そんな旧中央本線の遺構をまた探索してきた。
場所は前に訪問した旧天神山トンネルの、笹子川を挟んだ対岸になる。

Sasago_01

石垣が組まれた畑の向こう、一段高くなった山肌の電柱が見える部分を中央本線が通っている。
実はその向こう側に、かつての旧線が走っていたという。
その跡を探索してみたものだ。


Sasago_02
農道を抜け、さらに進むと林の中に屹立する高架が目に入った。
これが現行の高架。この上を中央本線が走っている。


Sasago_03
その高架下を潜り、さらに進むと何やら石造りの巨大な構造物が現れた。
これが今は廃止となった、旧中央本線の遺構。
正式名を旧『初狩側第三笹子川橋台』と言う。
ちょうど笹子川の反対側から見た、これ(右側)になる。
(マウスを置くと画像が切り替わります)


Sasago_04
当然のことながら、土手の上まで登ってみる。
そしていま立っているのが旧中央本線の路盤だったところ。
これは東京側を見て撮影している。
レールや枕木等は完全に取り除かれている。


Sasago_05
こちらは反対の、笹子川を渡る甲府側(天神山)。
1966年(昭和41年)の複線化工事まで使われていたというから、廃止後約50年。
路盤の上に芽吹いた樹々もだいぶ育ってきたようだ。
路盤跡からいったん降りて、橋台の脇に回ってみる。


Sasago_06
向こう側から眺めた時は木陰に隠れていたこともあって、ただの単純な橋台だと思っていた。
ところが横から見てみると、実は2連のアーチ構造だったことがわかった。
なんと美しい造形美ではないか。
どこか桂川の水路橋を彷彿とさせる気もする。
こうした見てもらえない所にも精緻を凝らすのが日本技術者のプライド。
まさにジャパン・スタンダードなのだ。

忘れ去られたアーチ橋台【後編】に続く。

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コメント

私、この様な風景が好きです。
以前 西沢渓谷を歩いた時に見た森林軌道跡に
似ている様です。
山梨って、こんな風景が多いのでしょうね。

投稿: いはち | 2015.12.07 17:30

いはちさん、こんにちは。

そうですね、確かに山梨には鉄道遺構がたくさんありますね。
森林軌道もそうですが、中央本線に遺構が多いのはそれだけ厳しい条件のところを走っているということなのでしょう。
難工事が予想されるリニア中央新幹線も、成功を祈るばかりであります。

投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2015.12.07 17:51

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