新倉の集落(早川町)
山梨県の西部にある早川町は、日本で最も人口の少ない町。
その北部に位置する新倉(あらくら)は、かつて茂倉鉱山の基地として戦前まで栄えた集落。
いまはもうその賑わいはないが、家並みは昔の雰囲気をまだ良く残している。
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早川の河岸段丘の山側に形成された二段集落。
下から見上げると上部の家々ははこんなに山肌にへばりついているのがわかる。
傍らには貯水池があるが、これはここからはるか下流、高度差で200m以上も低い早川第一発電所まで送水するためのもの。
集落はこの貯水池よりも上部にある。
集落内の道はこんなに狭く、両側に家が迫っている。
まるで下流の集落のような雰囲気だ。
標識では2トン車以上は通れないことになっているが、実のところ2トン車どころか軽トラックだって精一杯の道幅に過ぎない。
もちろんすれ違いなど不可能なだけでなく、自転車1台の追い越しすらままならぬ。
歩行者だってクルマが来たら道の外に追いやられることだろう。
この民家の屋根に渡された赤い鉄板の正体は、なんと(屋上)駐車場である。
(振り返って撮影)
ここに駐めるには卓越した技術が必要に違いない。
ましてや暗くなった夜になど、さぞスリリングな冒険になることだろう。
とにかく土地が狭いので、しばしば1階よりも2階部分が外側に張り出していたりするのがこの集落の建物の特徴。
昔はこの二階の窓から乗り出した鉱山の鉱夫たちが、下の道路を歩く娘を冷やかしていたんだろうか。
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集落の最上部に位置するこの旧旅館(?)は最も象徴的だ。
左の電柱が曲がって見えるのは広角レンズのせいだけれど、その支柱(ワイヤー)が水平方向に張られているというのがまずすごい。
ぎりぎりに建てられた建物は一階の角部分が道路に合わせて斜めにカット。
もちろん二階の縁側(広縁)は一階よりも外に張り出している。
庇(ひさし)なんか、さらにせり出て完全に道路の上となっている。
屋根の雪が落ちる時なんか、下を歩くのは怖そうだ。
そしてその下にあるこれはなんと屋外の共同トイレ。
その隣は浴場だ。
今どき屋外にまだこういうのが残されているとは驚きだ。
新倉は名前もいいがとても興味深い集落だった。
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