富士の恵み・夏狩湧水群

都留市(山梨県)の郊外、住宅地の奥を「柄杓流川(しゃくながれがわ)」が流れている。
三つ峠を水源に、桂川から相模湖へと下っていく。

「しゃくながれ」とはずいぶん難しい読み方だが、江戸時代の村絵図には「ひしゃくながれ」となっていたそうなので、それなら理解できるというものだ。
三つ峠は梵語の碑もあるような信仰の山。
『北斗七星』も祀られているので柄杓Hishaku_2ということになるのだろう。

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狭い町並にやっとクルマが止められる場所をみつけ、川へと降りて行く。
一応遊歩道に整備されているのだが、雨に濡れた急坂は滑りやすく侮れない。


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下を流れているのが「柄杓流川」。
対岸に渡る細い橋の上からは、目的の「夏狩湧水群」が見えてきた。


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右の大きいのが「太郎滝」で、左の細いのが「次郞滝」というらしい。
こちらが山側に思えるが、実は反対の住宅地側。
それでこれだけ清水が豊富に湧き出るのだから、都留はほんと水に恵まれたところだ。


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しかし滝は太郎・次郞だけでなく、こうして周辺の至るところから白糸のように流れ落ちている。
これじゃ「太郎」「次郞」どころか、「三郎」「四郎」に「五郎丸」、「父さん」「母さん」、「従兄弟」や「はとこ」に親戚のおばちゃんたちまでいるではないか。

これら全体で「夏狩湧水群」を構成。
2008年(平成20年)、環境省により「平成の名水百選」の一つに選定された。

現場で撮影したよくわかる動画はこちら
                

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穴から仰ぐ「おみかの滝」

「おみかの滝」は長野県南相木村、千曲川の支流・南相木川に掛かる滝。
ヒョングリでもないのになぜいま滝なのかというと……
ネットで見た滝のアングルが格別だったから。
一度見ただけでその写真に惚れたのだ!

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ほらね。
この、洞窟から仰ぐような感覚は、そうこの滝に近いもの。
ただし、こっちの穴は残念ながら人工のものなんだけど。


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そう、この「観瀑台」に行くにはこんな鉄道用のような馬蹄型の人工トンネルを通っていく。
暗いのは怖いから、念のためヘッドランプも持参したけれど、トンネルは観光用なのでちゃんと自動で蛍光灯が点灯するようになっていた。
なるほどこれなら大人も怖くない (^_^)v
さすが財政潤沢な南相木村だわい。

なお滝は総落差24m、3つの段瀑になっていてそれぞれ「上の淵」「中ん淵」「下ん淵」と呼ばれている。
そのため「3つの甕(かめ)」ということから「三甕(みか)の滝」と呼ばれたそうだ。
(写っているのは一番上の滝)

ちなみに滝のすぐ近くに南相木小学校があるのだが、あの日航機事故の時は630名余りの自衛隊員が体育館や音楽室に泊まり込んで救難活動にあたったそうだ。
墜落現場の御巣鷹山まではずいぶん距離があるけれど、ここが長野県側としては最東端の公共施設だったんだね。
合掌。

現場で撮影したよくわかる動画はこちら
                

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T秘境と呼ばれて

富津市の奥地に『T秘境』と呼ばれるところがある。
『T』は近くの集落である高溝の頭文字だろう。
別に秘境でも何でもないのだが、あの『S秘境』と同じ、林道好きの暴走イヤ房総ライダーたちがかつてそう呼んでいたもの。

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ここが『T秘境』の有名な入口。
ここまでも渓流沿いの道だったが、ここから景色がまったく一変する。
トンネルの丸かった断面も出口では四角くなる。
(マウスを置くと出口に画像が切り替わります)


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早くもユニークな形状の岸壁が現れた。
残念ながら今でもこの辺りにはタイヤ痕が残っていて、それがこの地が『T』と伏せ字にされた理由。
というのもここは地域が大事にしてきた川にも関わらず、そこをバイクが縦横に踏み入って問題になったからだ。
地元住民の上水道の採り入れ口だというんだから荒らされて怒るのは当たり前だよね。


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浅い川だが場所によってはかなりの水量があり、増水時には安易に歩けないだろう。
浸水した長靴ほど哀しいものはない。


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これは振り返って撮影。
こうした水平線のある岩肌が房総の川の特徴だね。


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滝の近くになると足元にはかなりの大きさのポットホールが点在。
結構大きくて深さは1m近くもありそうだから、撮影しながら歩いて落ちたらタイヘンだ。
(ケータイだって圏外だし)


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これが今回の目的地『黒滝』
この川で一番雰囲気があるところだと思う。
ただし岩は苔むして滑りやすい。
行くなら、気をつけて。

・殺人の滝はこちら
・宇宙人? 謎の模様石はこちら
・大明神淵のポットホールはこちら
・開墾場のトンネル滝はこちら
・S秘境はこちら

現場で撮影したよくわかる動画はこちら
                

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旧・東青山駅の滝

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(三重県津市、旧・東青山駅にて)

素晴らしい滝だけど、上部は人工の水流。
その水流の処理に近鉄が苦労したことが窺える。
それにしても駅の隣にこんな滝があるなんて。

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初瀬街道の旅(1)瀧不動の磨崖仏

【瀧不動の磨崖仏】

初瀬街道は別名伊勢北街道。
昔、奈良から三重まで伊勢参りに使われた道で、ほぼ現在の国道165号線にあたる。

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往来の途中にある宿場には必ずこうした常夜灯というものが設置されていて、お詣りする人の一助となっていた。

さて初瀬街道から北に入ったのその名も滝集落というところに、地元で「瀧の権現さん」と呼ばれる滝行場があるというので訪ねてみた。
果たしてどんな滝なんだろう。


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場所は伊賀市になる。
ずいぶんな山道を上った樹々の中にそれはあった。
正確には「熊野三所神社・奥の院」というらしい。
さて、滝はどこだ?


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周囲を探ったところ、どうやらこれらしい。
しかし、落差1mほどもないこの滝では、頭から水に打たれるのは無理じゃないか。
まさか、キン○イ法 ?(゚_。)?(。_゚)?

と、中央に鎮座する大岩の中央に、何やら彫り物があるのが窺えた。
(マウスを置くと)


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見よ。
岩肌をえぐり、みごとな不動明王が彫り込まれているではないか。
今回は残念ながら水量が少なかったが、多い時にはここにも水の流れが現れるそうで「三筋の滝」とも呼ばれているんだそうだ。


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さらによく見れば、ちょうど背後の火焔の部分に赤い彩色がわずかに残っているのがわかる。
もしかして、最初は全体に彩色が施されていたんだろうか。
さぞ見事なものであったろう。
滝は残念だったけれど、磨崖仏には満足した。

初瀬街道の旅(2)朽ちた鱒池亭に続く。

・伊賀古道の磨崖仏こちら
・京都・童仙房の磨崖仏こちら
・伊豆・大仙山の磨崖仏こちら
・房総・岩谷堂の磨崖仏こちら

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丸見えになりました、「見神の滝」

ひさしぶりに「見神の滝」の前を通った。
山梨県は早川町にある、落差40mの立派な滝。

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これが全景。
相変わらずの偉容、みごとな滝である。
付近が硯の名産地なので、黒光りした岩肌はこれもたぶん「雨畑真石」というやつ。


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というか、県道から滝が丸見えになっていたのに驚かされた。
以前は滝の前に丸太で出来た水車小屋(正確には「早川町山村林業体験学習舎」)が無粋に建っていて、その建物の裏まで廻らないと滝がまともに見えなかったのだ。


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今回通ったら建物が完全に撤去され、滝の前はこれだけ開けた広場になっていた。
これなら角度も自由になるし、引きで撮れるので以前のように広角レンズでなくともちゃんと滝の全景が撮影できることだろう。

思えば、前回訪問からもう5年も経つんだな。
滝は何にも変わらないけれど……
リンゴ~の気持ちは良くわかる~♪

Ani_apple長野のリンゴは有名だけど、お隣・山梨にもあるんだね。
隣国のリンゴ食う。

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絶景!! トンネル滝 「開墾場の滝」

ここは千葉県君津市の山の奥。

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【左】辿っているのは小糸川水系の「三間川」という渓流。
「さんまがわ」と読むが、もちろんサンマはいない。
三間とは5mくらいのことだから、ずっと変わらないこの川幅のことなのかも。
やがて三島湖へと流れ込む。
今は水の少ない時期なので、足元の甌穴さえ気をつければ簡単に歩ける。

【右】やがて流れはカーブし大きな壁のような岩肌にぶつかってしまう。
そしてそこには変わった穴のようなものが……
千葉らしく、なんかS秘境と良く似ている。


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【左】水はすべてこのトンネルのような穴に吸い込まれていく。
実はこれ、千葉には多い「川廻し」というもの。
川の流れを人工的に変えて畑などを作り出すものだけど、ここでは農業ではなく林業のために作られたそうだ。

【右】逆から見たところ。
穴の形がだいぶ違うのがわかるね。
小さく見えるがトンネルの高さは6m近くあるという。


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【左】トンネルの先を覗いてみた。
いきなり落差のある滝になっている。
滝の高さは10mほどか、下の大きな滝壺の深さも3m以上あるそうだ。

【右】こちら側は足場が悪いので、反対側に渡りロープで下ってみる。
滑るので、流れを横切る時は気をつけてね。
誰が行くか。


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【左】断崖の中間部から滝の流れを撮影してみた。
上ではショボい水量だったが、落ちる時にはそれでも結構な迫力。
長い時間いると飛沫で濡れてしまう。

【右】上のトンネル部を見上げてみた。
面白い画角。
あの滝口沢のようにユニークじゃないか。


滝の上から撮影したよくわかる動画はこちら
                

滝の途中から撮影したよくわかる動画はこちら
                

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人形のお供えお断りの神社

都留市にある田原の滝を再訪した。

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前回と違い、周囲は緑に覆われていい感じになっている。
現在連載中の『桂川・水路の旅』でいえば、(9)(10)の間になる。


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あの松尾芭蕉さんも相変わらず、お元気だった。


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でも今回の目的は滝でもなく、芭蕉さんでもなく、その背後にある神社。
『田原神社』といい、御祭神は応神天皇という由緒あるものだ。


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でもこの看板、変わってない?
「人形やぬいぐるみを供えることはご遠慮下さい」

実はこれには逸話がある。
なんでもある人が人形をお供えして帰宅したところ、自分より早くその人形が家に戻っていたというのだ。
この噂が広まり、以来試しに人形を置いていく人が増大。
それで困った神社が人形のお供えを禁じたんだって。
ふむ、ドールでね。

現場で撮影したよくわかる動画はこちら
                

人形OKの神社はこちら

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桂川・水路の旅(9)

【鹿留川水路橋】

桂川・水路の旅(8)から続く。

鹿留発電所で役目を終えた水はそのあと直下を流れる桂川に接近する。

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しかし水は合流することなく再び離れ、地下水路で今度は谷村発電所に向け水路の旅を再開させる。

訝しげにこちらに視線をやるネコちゃんが道路脇にいたので、次の水路を尋ねてみた。
知らニャー」とのことだった。
だよね。
ここの標高、約570m。
ネコちゃんの目線はそのさらに15センチほど上になる。


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やがて見つけた里の水路は、これまでの山中とは異なり安全対策のため上部が金網のフェンスで厳重に覆われるようになった。
緑のカラーリングが印象的。
(中を水が流れているのが見えるかな)
残念ながらこれから先、水路の水はほとんどこのフェンス越しに向かい合うことになる。


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水路はすぐに桂川の支流の一つである鹿留川を渡る。
その手前、小さな滝とそれには不釣り合いな大きな滝壺がまるでポットホールのように渦を巻いている。
(マウスを置くと画像が切り替わります)
ごうごうと左へ流れているのが鹿留川で、それを貫禄あるアーチ橋で渡っているのが東電の水路。


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正式名を『谷村発電所・鹿留川水路橋』、発電所と同じ大正9年の完成と伝えられる。
2連になった橋は切り石による石造り欠円アーチという型式のもの。
谷村発電所が操業を開始したときから使われていて、日本の近代土木遺産2800選にも登録されている価値ある橋だ。


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これは反対の下流側から見たところ。
こちらはほぼ北向きになるので陽が当たらず、苔むした感じが逆にいい雰囲気を醸し出している。
橋の標高、約550m。
山中湖から430m下ってきた。

現場で撮影したよくわかる動画はこちら
                

鹿留川はこのあと蒼竜峡という「峡谷」を経て桂川に合流する。

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これはその蒼竜峡脇の団地の駐車場から撮影したもの。
こんな秘境のような激流が子供の遊ぶ団地のすぐ裏にあるのだ。
信じられる?
山梨は凄いところなのである。

--桂川・水路の旅(10)に続く--

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ほんとだった、「養老の滝伝説」

 (C)Clubt
Yooroonotaki岐阜の養老の滝といえば、滝の水が酒に変わったという孝行息子の伝説が有名だけど、もちろん滝の水がお酒の訳がない。
それならみんな汲みに行っちまうものな。

ところが日本テレビの情報番組「目がテン」で、実験したらほんとにアルコールが検出されることがわかったんだって。
それによると、上流部にアケビやキイチゴなどの果実が豊富なことや、ここの水の硬度が著しく高いことで自然の酵母がアルコールを作りやすい状況が確認できたそうな。
実際、実験ではわずか5日ほどで0.5パーセントのアルコールを検出。
気象や降雨など特殊な条件が揃えば、十分あり得る話だった訳だ。

すげ~
また行かなくっちゃ。
僕……
もう帰ってこないかも。

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